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2022年03月18日

キューバ政府の声明の紹介

ウクライナへのロシアの軍事侵攻という事態あたってキューバ政府の声明が届いたので、紹介します。ウクライナと友好的な関係を築く努力を重ねているキューバは、3月2日に国連総会におけるロシアへの非難決議について「棄権」という姿勢でした。なぜ「棄権」するのかについての理由が示されています。なお、この決議に「棄権」した国は以下の35カ国です。
アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バングラデシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ、中国、コンゴ共和国、キューバ、エルサルバドル、赤道ギニア、インド、イラン、イラク、カザフスタン、キルギス、ラオス、マダガスカル、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、セネガル、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、スーダン、タジキスタン、ウガンダ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエ
また、キューバ政府の声明のあとに、国連でのキューバ代表の演説もあわせて紹介します。

◆キューバはすべての関係方面の安全と主権を保障する解決を支持する
米国が NATO(北大西洋条約機構)をロシア連邦との国境方面に漸進的に拡大しようと固執し続けていることが、予測不可能な度合いの影響をもたらす場面につながった。この場面は避けることが可能だった。米国と NATO が過去数か月、ロシア連邦と隣接する地域に向けて行った軍事活動は周知の事実である。こうした軍事活動に先立ってウクライナへ最新兵器が供与されている。このことは全体として、漸進的な軍事的包囲に相当する。
ロシア連邦による米国と NATO に対する正当な要求について、武力行使や法的原則及び国際的な諸規定の不遵守につながった諸要素について、これらを入念に検討せずしてウクライナ情勢を厳密かつ客観的に分析することはできない。キューバはこれらの法的原則及び国際的な規定に調印しており、強固に支持するものである。これらは特に小国にとって、覇権主義や権力乱用、不正義に対抗するために不可欠の基準である。
キューバは国際法の擁護国であり、国連憲章にコミットしている。キューバは常に平和を守り、いかなる国に対する武力行使または武力による威嚇にも反対する。ウクライナで罪のない民間人の生命が失われたことを、われわれは深く遺憾に思う。キューバ国民はウクライナ国民と親密な関係を築いてきたし、それは現在も変わらない。
NATO 域外で攻撃性を増す軍事ドクトリンがもたらす結果について、歴史は米国の責任を問うだろう。この軍事ドクトリンは国際的な平和や安全、安定を脅かしている。NATO が最近、その「即応部隊」の展開を初めて決定したことに、われわれの懸念はさらに高まっている。ロシア連邦による安全保障上の根拠のある要求を数十年間にわたって無視し、国家安全保障への直接的な脅威を前にして同国が無防備のままでいると想定してきたのは過ちであった。ロシアは自衛する権利を持っている。国家を包囲したり、追い詰めたりして平和を得ることはできない。
2 月 25 日に国連安全保障理事会にて採択されず、総会に提出されるであろうウクライナ情勢についての決議案は、現在の危機の解決策の模索に真に寄与するものとして構想されたものではなかった。それどころか、均衡を欠いた文案であり、すべての関係方面の正当な懸念を考慮に入れていない。また、紛争の激化を加速させた攻撃的な行動を扇動し、展開した者たちの責任を認めていない。われわれは欧州における現在の危機に対し、平和的な手段を通じた真剣で建設的、現実的な外交的解決を支持する。その外交的解決とは、すべての関係方面の安全と主権、さらに地域的・国際的な平和、安定、安全を保障するものである。
キューバは偽善と二重基準を拒否する。1999 年に米国と NATO は国連憲章を無視し、地政学的目的のためにユーゴスラビアに対し大規模な攻撃を仕掛け、多くの命を犠牲にし、同国をバラバラに分断させたことを思い出すべきである。
米国といくつかの同盟国は多くの機会に武力を行使した。体制転換を引き起こすために主権国家に侵攻した。そして米国による支配の意図に屈せず、領土保全や独立を守る国々の内政に干渉した。彼らはまた、自らの略奪戦争の結果として、「副次的被害」と彼らが呼ぶ何十万人もの民間人の死や、何百万人もの避難民、地球上の全ての大地の破壊についてもその責任を負う。
2022年2月26日 キューバ革命政府声明

◆ウクライナに関する国連総会緊急特別会合でキューバ国連常駐代表ペドロ・ルイス・ペドロソ・クエスタ大使が3月1日に行った演説
議長殿
去る2月26日、キューバ政府はウクライナでの出来事について声明を発表し、すべての人の安全と主権を保証し、正当な人道的懸念に対応する解決策を支持する姿勢を明確に打ち出しました。
キューバは国際法を擁護し、国連憲章を順守します。キューバは常に平和を擁護し、いかなる国家に対する武力行使や武力行使の脅威にも明確に反対しています。2014年にハバナで地域の首脳が署名した「ラテンアメリカ・カリブ海平和地帯宣言」を断固支持するのはそのためです。キューバは国際人道法も順守しており、すべての当事者に対し、民間人、その所有物、インフラを保護するよう呼びかけています。
私たちは、ウクライナで罪のない一般市民の命が失われたことを深く遺憾に思います。キューバ国民は、これまでも、そしてこれからも、ウクライナ国民と非常に親密な関係を築いていきます。
議長殿
ウクライナの現状について、武力行使や法の諸原則・国際規範の不遵守を導いた要因を慎重に評価せずに、厳密かつ誠実な検証を行うことは不可能です。キューバは、とくに小国にとって、覇権主義、権力の乱用、不正義と戦うために不可欠な基準となるこれらの原則と規範を強く支持し、支援しています。
NATOのロシア連邦国境への漸進的拡大を継続するという米国の決意は、予測不可能な範囲の影響を持つ場面をもたらしたが、それは回避できたはずです。ここ数カ月の米国とNATOのロシア連邦に隣接する地域への軍事的動きは、ウクライナへの近代兵器の搬入に引き続くものであり、全体として軍事的包囲を構成するものであることはよく知られています。ロシア連邦の安全保障を求める根拠ある主張を何十年も無視し、ロシアが国家の安全に対する直接的な脅威に直面しても無防備でいられると考えたのは誤りでした。平和は、国家を包囲したり、追い詰めたりすることによっては達成できません。歴史は、国際平和、安全保障、安定を脅かすNATO域外でのますます攻撃的な軍事ドクトリンの結果について、米国に責任を負わせるでしょう。
NATOが最近、NATO即応部隊を初めて発動することを決定したことで、われわれの懸念はさらに大きくなっています。キューバは、偽善とダブルスタンダードを拒否します。1999年、米国とNATOが、地政学的な目的を追求するために、ヨーロッパの国、ユーゴスラビアに対して、国連憲章を無視した大規模な侵略を開始し、多くの人命を犠牲にして、同国をバラバラに分断したことを思い起こすべきです。
米国と一部の同盟国は、これまでにも何度も武力を行使してきました。彼らは、政権交代をもたらすために主権国家を侵略し、内政に干渉しました。しかし、これらの国々は、米国による支配の意図に屈せず、自国の領土保全と独立を守りました。彼らはまた、略奪戦争の結果として、彼らが「巻き添え被害」と呼ぶ何十万人もの民間人の死、何百万人もの人々の犠牲、そして地球の地形の大規模な破壊の責任を負っています。
議長殿
2月25日に安保理で採択されなかったウクライナ情勢に関する決議案は、現在の危機を解決するための真の貢献として意図されたものではありません。現在この総会で検討されている文章も同じ欠点があり、必要なバランスを欠いています。この文書では、すべての関係者の正当な懸念が考慮されていません。また、この紛争の激化を早めるような攻撃的な行動を扇動したり展開した人々の責任も認めてはいません。
議長殿
われわれは、ロシアとウクライナの交渉開始を歓迎します。戦争ではなく、対話と交渉が紛争解決の唯一の手段です。
キューバは、現在のヨーロッパの危機に対して、すべての人の安全と主権、地域と国際的な平和、安定と安全を確保し、平和的手段による真剣かつ建設的で現実的な外交的解決を引き続き提唱していくでしょう。
ありがとうございました。

キューバ政府の声明の紹介


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Posted by 平和友好祭 at 23:58│Comments(0)政治問題国際連帯
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